2013年5月13日

Chapter 01 - 謎の世界の生き物、闘うトレーナーたち (Part B)

小説が長すぎたため、分断したんだ。

 *** Part A からつづく ***
註:2014年5月22日によりリマスターされた




  さすがに戦いの場を村の中にすることはできない。バトルをするために二人の少年はグリーンビレッジから離れ、村の北郊外の草原まで来ていた。当事者の二人以外に、ずっと彼らを見ている三体のデジモンも、傍観者として一緒にここに来てやった。
  「あの~、何か起こったの?何か始まるというの?」
  「さあ、ぼくも分かんない。“勝負”と言ったけど、でも何か起こるのかぼくもさっぱりなんだ」
  離れた傍らには観客のうちの二匹がいて、テレビアニメを見ている子供のように開始の前から物見高くお互いにそれについてたずねた。
  「おまえたち、“勝負”とか言ったけど、一体何をしようというのじゃ?」
  見物人の一人でもあるジジモンは、二人の少年が何かを始める前に、先に当事者である彼らを問いかけた。
  「トレーナー同士のポケモンバトルだよ。まあ、説明するとややこしいから、見れば分かると思う。危ないから、安全な場所まで離れてくれ」
  たずねたとしても、敦はこれ以上言葉で詳しく説明するつもりはないため、ジジモンも仕方なくとして、ドルモンとパタモンと二人の荷物が置かれた脇へ戻り、二人の少年を見守ることにした。
  「それで、ルールはなんだ?」
  ポケモントレーナーのバトルは決めたルールを従って行うもの。そしてしきたりによれば、バトルのルールは勝負を申し出す方から決める。だから今敦は挑戦を申し込んだレイにそれについてたずねた。
  「オマエは6匹のポケモンを持っているだろ?ならばポケモンリーグ公式のバトルと同じく、フルサドンデスだ」
  「げぇっ。おまえはなんつーしんどいやつを選んでる訳?」
  フルサドンデス ―― それは一人のポケモントレーナーが許された手持ちポケモン最大数6匹をすべて使って、ポケモンを一匹ずつ入れ替えながら戦う、しかし6匹の中でどれ一つでも戦闘不能の状態になると負けになる。このルールではトレーナーの戦闘判断、指揮能力、および反応速度によって非常に短いまたは非常に長いバトルになる、まさにトレーナーの腕前を極限まで試す。でもその反面、フルサドンデスのルール自身はバトルを非常に高いレベルまで押し上げるため、このルールを使用するのもほんの一部の公式ポケモンバトル施設のみ、トレーナー同士のプライベートバトルは普通ではこのルールを選択しない。しかし今、それにかかわらずレイはこれを選択したことは、裏の意味でつまり彼はまったく手加減なしに力を完全に出し切る真剣バトルを望んでいる。そのため、彼の強要で無理やり戦わされたうえにいきなりハイレベルのバトルを押し掛けられた敦は文句がない訳ないだろう。
  「その『げぇっ』とはなんだ?ルールを選択する権利は勝負を申し出した方にある、だからオマエは文句を言う筋合いはない。それに先に警告しておこう、わざと負けるような不まじめな戦い方はオレは許さないぞ」
  不満がすげなくあしらわれて、ぶっきらぼうに言い伏せられた敦はすぐさま青筋が立つほどむかっと来た。でもあいにく確かにレイの言う通りに、今の彼は立場上に文句は言えない。仕方ないの彼はいやいやながらこの不快を呑み返して、このバトルに本気を出さなければならないと自分に強いて思わせた。
  「いいだろ。全力を尽くしてすぐ終わらせばいいだけの話だ」
  「フン、そういうことだ。オマエの全力、見せてもらうぞ」
  言い終わったすぐ、二人の少年もお互いから離れて、約40メートルの距離を双方の間に置いてあった。位置について振り返った二人は、厳粛なまなざしでお互いを見つめ、腰のベルトに掛けたテニスボールと同じくらい大きなボール状カプセル――モンスターボールと呼ぶものの六個のうちに一つを取り出す、手に持ちながら少し腰をかがめた。そしてその瞬間、とてつもない緊張の雰囲気が二人の間に流れて、傍観している三体のデジモンも張り詰めさせた。
  「では、バトル――」
  「――スタート!!」
  敦がくれた『スタート』のシグナルとともに、二人とも手に持っている赤と白のモンスターボールを前に差し出す、一秒の差もないくらい同時にボール上にある唯一のボタンを押した。ボールが開いた隙間から放たれた一瞬の閃光とともに、傍観者たちを驚かせるほど、突然両側も一匹のポケモンが少年たちの前に現わした。敦のボールから飛び出したのは青と黒の毛皮に覆われ、両手の甲と胸に鋭い鋼のトゲが突き出す、トレーナーより少しだけ背丈が低いのジャッカルの獣人――ルカリオ、この郊外に来る前にバトルをするため一旦ボールの中に戻ったんだ。そして向こう側が前に出したのは四枚の大きな椰子の葉っぱの翼が背に生え、長い首の先のあご下に果物が実ってる、二階建てほどの巨体を持った植物の性質を持つ一匹の竜脚類の恐竜――トロピウス。
  「 “マジカルリーフ”!」
  両側の選手がフィールドに出した瞬時に、相手より早く、青い帽子の少年は先に自分のポケモンに指示を下した。低空で飛んでいる植物の恐竜はすると即刻背中のの葉っぱの翼を強く羽ばたかせて、光りながら手裏剣のように回転する鋭い葉を多数に撃ち出した。
  「ルカリオ!」
  敦の決断的な呼びかけとともに軽くうなずいて、相手へ駆け込んでいくルカリオは彼の後頭部にぶら下がる四つの房を立たせた。高速に投げ込んでくる光の葉が彼の体を切り裂くそのわずかな寸前、一体だった山犬の獣人は驚くに突然二体となって、それぞれすばやく左右へ飛び退くことで攻撃をかわし、光の葉はすべて地面に刺し込んでターゲットを外した。お互いはまだ技一つしか使っていなく、バトルはまだ始まったばかりしかいないが、でも戦いの最中におけるその切迫した空気は最初の一撃によってクライマックスまで押し上げて、見ている観客たちは参加者たち自身よりさらにドキドキした。
  「よし!ルカリオ、さらにかく乱して接近せよ!」
  トレーナーが与えた指示とともに、二体のルカリオはいきなり四体へと分裂して、そして四体はさらに八体となり、“かげぶんしん”によって十数体となった獣人はそれぞれバトルフィールド内で無規則にすばやく走り回りながら相手へ接近した。本体は一体しかなく、残りはすべて偽物であることを分かっても、目の前の大軍を見てさすがにトロピウスは混乱しないにはいられない。どれが本物なのかをまったく見分けられず、運に任せて“マジカルリーフ”を乱れ撃ちしかできなかった。あいにく、物の波導を読み取る力を持つルカリオは相手の攻撃を簡単に“みきり”ことができる、何度撃ち込んでも光の葉はまったく本体を当たれなかった。そして彼は大量の分身に援護されながら徐々に相手へ近付いて、もうすぐ最終防衛ラインを突破しそうだ。
  「まずい。トロピウス、さらに上空で“かぜおこし”だ」
  「させないわよ。このチャンスを逃さずに、一気に飛び込め!」
  「なっ……!?」
  相手の進攻を止めることができないなら攻撃を届かせないようにすればいいと、現状においてはご最も考えるの対応処置だ――しかしそれは思わず逆に相手に利用されたことになった。上空へ移動するためトロピウスの攻撃が一瞬緩んだその隙に、大量のルカリオの分身は突然全部跡形もなく消えて、残された一体の本物はすぐさまさらに加速した突進の足並みで、一秒もいらないの迅速で長首の恐竜の真下まで忍び込んだ。
  「そして宇宙(そら)までぶっ飛べ!“スカイアッパー”!!」
  トレーナーの気合いの叫びと自分のポケモンの攻撃を真似するような拳を突き上げる姿勢と同調に、全身の力を足に込めたルカリオは拳を突き上げながら打ち上げるロケットのように跳ね上がり、すさまじい上昇の勢いでトロピウスの大きな図体も高い上空まで殴り上げるくらい、下腹に強力の一撃を与えた。
  「くっ……。すぐ戻れ、トロピウス」
  この一撃の痛みで意識がぼんやりとなったトロピウスが地面まで墜落する前に、レイはバトルが開始したとき出した同一のモンスターボールをポケモンに向けながら開けた。あの植物の恐竜はすると吸い込まれたように、たった一瞬であの小さなボールの中へ回収された。初めてポケモンの戦いを見た脇の三体のデジモンは色々技術的な質問を抱えているが、でも今はそんなことより、レイのポケモンが倒された今、勝負はこれでもう決まったのか、敦は勝ったのか、そっちの方がより気になってて、観客席は騒がしくなってきた。
  トロピウスが入ったボールを腰のベルトへ掛け戻した同時に、レイは別の一個のボールを取り上げて、それを前方に向けて開いた。まぶしい閃光が収まったすぐ、四つの大きな脚が体から伸ばす、顔がついている円盤状の胴体に“X”字形のプロテクターがあって、全身はとてつもなく硬い青い金属でできている、高さ2.2メートルのクモ型ロボットみたいな鉄足ポケモン――メタグロスが少年の前に現した。新しいポケモンがバトルフィールドに出したことは、つまり戦闘はまだ終わっていなく、脇で見物している観客たちはまだ血が騒ぎ始めて、両方とも応援し始めた。
  「見たところ、鋼タイプだそうだ。攻撃相性はこっちにとって有利だな。ならばルカリオ、得意の波導拳法で打ち倒せ!」
  「フン、単純なアホめ。オマエの“てっぺき”防御を見せろ、メタグロス」
  トレーナーの指示を受けたルカリオは、両手がすると蒼い炎のようなエネルギーに包まれて、ギュッと拳を握りしめながら目にも追い付けないのスピードで相手の懐へ一気に駆け込んだ。その一方、敵が接近しているのもかかわらず、メタグロスはまったく一歩も動かずに、ただ体を薄暗く輝かせただけ。目先まで来ていたジャッカルの獣人はすると鉄足ロボットのⅩ字プロテクターの中央を狙い、燃え盛る拳で連続に何度も強く殴り込んで、同時にパンチのリズムと同調に手に集めた波導のエネルギーを何度も爆発させた。
  相手はまったく回避しようともしなく、ルカリオの攻撃は確実に直撃した、――なのにまったく効いていない。何度殴り込んでも、当たった場所は少しの凹みもなく、そしてメタグロス自身は少しの手応えも感じないほど、ダメージはまったく受けていなかった。
  『くっ……、硬い』
  「そうだ。タイプ相性ですら効かないほど、硬いだろ?」
  小声のテレパシーで呟いたルカリオの不意のコメントに、レイは得意げに言い返した。
  「そしてコイツの特徴は、硬さだけではない」
  レイが指を鳴らしたそのとっさに、まったく目に見えないのとある力がメタグロスの体から爆散したように、すぐ真ん前にある山犬の獣人はすさまじい勢いで吹っ飛ばされた。この一撃で地に転ばせたルカリオはすぐさま反動を乗せて腕立て宙返りで跳ね上がり、器用になお曲芸的に立ち直った。しかしなおかつ彼の右の頬と後頭部右側の二つの房にかなりの擦り傷を受けて、そのせいで波導の感知が鈍くなり、戦闘の続行に不利な影響を与えた。
  「ルカリオ、だいじょうぶか?」
  『ああ。ほんの少しのかすり傷で、大した問題はない、まだ戦える』
  「よせ!今の攻撃、風ではないの目に見えない力。相手は鋼タイプだけではなく、エスパータイプでもあるのポケモンだ。おまえが敵う相手ではない。一旦戻って休め」
  少年は戦闘開始のとき出した同一のモンスターボールを取り出して、ルカリオに向けて開けることで彼をボールの中に吸い戻した。そして腰のベルトに掛け戻したすぐ、彼は二つ目のボールを取って、中のポケモンを放って選手交代した。敦の二番目のポケモンは太いたくましい腕を伸ばしたぶよぶよのボディに恐ろしげな顔の模様が描かれて、血の光を放つ独眼がある頭部の上にはアンテナのような突起物があり、あの世へ連れて行く死神のような不気味な幽霊――ヨノワール。
  「ゴーストか、厄介だ。相手に攻撃される前に倒せ。“サイコショック”だ!」
  レイの指示を受けた途端、目が薄い青い光を放つメタグロスの周辺には、多数の不思議な青い色に輝くエネルギー玉が次から次へと出現してる。そしてあの鉄足ポケモンの片足を前へ指す身振りの合図をする瞬間、彼の周囲に浮くエネルギー弾は次々と相手へ投げつけ込んで、ヨノワールへ向けて途切れることがない弾幕を張った。
  最初の数発は容易にかわしたが、しかしヨノワールはなぜかやや疲れたように、回避運動に集中していなくただ適当に動き回ってるだけ。そのせいで、身動きはいかにも簡単に狙いを定めたメタグロスにすぐにでも見極められて、早々第六撃目の“サイコショック”当たられてしまった。
  「どうした!?反撃もしないのか?ならば倒れろ!」
  トレーナーの一言でメタグロスの攻撃はさらに激しくなり、弾幕の密度もさらに増やして、すさまじい集中砲火の中に飲み込まれたヨノワールは地面に押さえつけられた。この状況を見ている傍観者たちもすでに勝ち目がないと見込んで、やられている敦のかわりに絶望を感じた。――しかしながら、そのとき赤い帽子の少年はなぜかにやりと笑った。
  「おまえって、本当に先手を打つことが好きだな。しかしなあ、『後手の先手』という言葉は知ってるか?」
  「……なんだと?」
  「簡単に言って、やられているように見えても、実は勝ってるってことだ」
  その言葉を気になって、レイは直ちに手の合図でメタグロスに攻撃の中止を命じた。荒々しい爆撃で地面の芝生も荒廃したが、でも観客たちにとって思いも寄らなく、弾幕の跡で仰向けに倒れているヨノワールは体がボロボロであってもまだ生きていて、精いっぱいの力を振り絞って立ち上がった。
  「さすがにおまえのポケモンの攻撃を“こらえる”のもぎりぎりだったな。このまま続けるとさすがにまずい。ヨノワール、“ねむる”で回復しろ」
  くつろいだ直立姿勢にある黒い幽霊はすぐ目を閉じり、立ち寝てる彼の体はするとほのかに輝いて、受けた傷はどんどん回復しに行った。しかし一方、一向に攻め込んでこない相手のすやすやの寝顔を見てると、イライラの気持ちは急に湧き上がり、レイは挑発を受けたように不満をこぼした。
  「一体どういうつもりだ?攻撃を受けて回復して、攻め込まないキサマは消耗戦を持ち掛けてるとでもいうのか?ならばこっちが先に倒してやる。メタグロス!」
  足を折りたたんだ状態にある鉄足ポケモンは上空へ指差すトレーナーの手の合図とともに空へ高く浮き上がり、足一つを下に眠ってるヨノワールへ向けて伸ばし出した。そしてレイの指が向こう側の相手へ指す瞬間、メタグロスは高速に突進し込んできて、宇宙から落下する隕石のような勢いで蹴り落としてきた。これほどの質量の体を持ったポケモンが落ちてきたら、その衝撃はどれほどのものかと想像はつける、そのため見ている見物人たちはすでにひやひやして心配してた。だけど落ちてくる相手を見ているそのときの敦は少しでもうろたえていなく、逆に勝ち誇る微笑みが口に浮かんだ。
  「……その通りだ」
  なんの前触れもないの突然、上空から突き込んでくるクモ型ロボットはいきなり力が抜けたように、自在に宙に浮くことを維持できず、放物線の軌道で彼は相手の前の空所に墜落した。そして引力による作用で、何十トンも重いのメタグロスは落ちた場所に小さなクレーターができ上がるほど、すごい勢いで地面とぶつかった。
  「なっ……!?どうしたんだ!メタグロス?」
  墜落したメタグロスはトレーナーの呼びかけに応じて立て直そうとしたが、しかし具合は非常に悪そうで彼はまったく力を出られなく、持ち上げた脚はすぐまただらりと垂れた。
  「おかしい。攻撃は受けていないのに、体力の消耗が激しい。……っ!そうか、オマエのはゴーストタイプのポケモンから、“のろい”なのか?」
  自分のポケモンの現状を見て、そして当初のとき体力を使ったみたいにフラフラしていたヨノワールの姿を覚え出して、レイはすぐその推論にたどり着いた。“のろい”と言うのはゴーストタイプポケモンにしかその真価を発揮できない、ものすごく特殊なステータス技だ。この技を使用したゴーストポケモンは体力をまったく目に見えない有害な呪力に変換して、相手の身に掛けることで一時的に身体機能を異化させて、体力の回復機能を停止させると体力の消耗を激しいにする。効果の見た目はまるで呪術に掛けられて体力が奪われつつある、だからこの技は“呪い”の呼び名に冠された。
  「そっ!だけどそれだけではない。ヨノワールの特性は“プレッシャー”だ、おまえのポケモンは戦っただけですでにいつもより体力を消耗してる。硬すぎて攻撃が効かないおまえのメタグロスは、体力の消耗戦が一番効くからな!」
  まさかポケモンの固有能力まで利用してわざと受け身になることで目に見えない反撃を企てて、見破りにくい向こうの作戦をまんまと乗ってしまったレイは、騙された気分で少し不快に思いながら、相手の巧みさを見くびったことに後悔しそうに食いしばった。
  「そして力が尽きたあと、こっちはただとどめの一撃を与えればいい。だからヨノワール、起きろ!」
  催眠術を解くための手品みたいに、ヨノワールの顔のすぐ隣で強くたたいた拍手の音は直ちに彼を睡眠状態から呼び覚ました。そして目覚めたきりの黒い幽霊は先までやられるだけのサンドバッグから一転し、傷と体力も完全に回復した彼は攻撃的な本番の勝負顔に変わった。胴体に映る顔の口を大きく開けて、とどめを刺せるほど強力の攻撃を構えるように、黒き暗黒のエネルギーが彼の体の中に集まりつつあった。
  「倒されてたまるか。戻れろ、メタグロス」
  相手が攻撃を繰り出す前に、レイはすぐメタグロスが入っていたんだボールを開けて、あの鋼のクモ型ロボットを呼び戻した。そして攻撃するべきターゲットがいなくなったため、黒き死神の幽霊も直ちに攻撃の構えを中止して、開けた腹部の口を閉めた。
  すぐにでも次のポケモンを交代しなければならないのか、しかし今の一戦で相手の厄介さを思い知ったため、レイはしばしば沈思したあとこそ次のモンスターボールを持ち出した。一瞬の輝きがレイのボールの隙間から放て、敦の三番目の相手はすぐ目の前に現わした。そしてそれはある意味思いのほかに、緑の上半身と白い下半身を持った体はほっそりとしなやかで、自在に伸ばせる両腕の肘は刃のように硬くと鋭い、レイの一番の部下みたいな立場をしている人型のエスパー剣闘士――エルレイド。
  「そのエルレイド、確かあのころのキルリアだったね。ポケモンリーグのときおまえも使ったから、顔立ちに見覚えがあった」
  敦の今の一言を聞いて、対戦相手でありながらエルレイドは思わずにっこりと笑った。
  『ワタシのことを覚えてくれて光栄であります、敦殿。キミとは一度でも話をしてみたかったが、残念ながら戦いの最中である今、ワタシたちは敵同士。手加減は無用でございます』
  「さすがはレイと付き合いが長いで、性格もあいつのようになってきたな」
  『それは褒め言葉としていただきます。それではいざ、参ります』
  礼儀を忘れずに相手のトレーナーへ挨拶したすぐ、戦闘的な身構えにある刃の戦士はたちまち目の前から消えた ―― 透明になったではない、本当に文字通りに、エルレイドは跡形もなく突然その位置から消え去った。そして敦と彼のポケモンも反応し切れない目が瞬くより速いの寸秒後、“テレポート”で突如としてヨノワールのそばで再出現した剣士は、目にも留まらないのスピードで右の肘から伸ばしたブレードを振りかざす、たちどころに相手の腰辺りに一撃の強力のクリーンヒットを与えた。
  手で腰の切り傷を遮りながら、ヨノワールは痛そうに後ずさりした。しかしながらエルレイドの攻撃はまだ終わってはいない。たちまち相手の別側のそばへ瞬間移動して、緑色のエスパー剣士は先より劣らない速さで左肘の刃を相手の別側の腰に斬り込んで行った。そしてこの一撃が過ぎたすぐ、エルレイドはまた別の腕のブレードで別の部分を狙い、絶え間のない連続斬りは黒い幽霊の体のあちこちにさまざまの切り傷を負わせた。
  「これ以上のダメージは危険だ。ヨノワール、“いたみわ――」
  「悪いが、そうはさせない!」
  『悪いが、そうはさせません!』
  自分のトレーナーとシンクロして、エルレイドはレイとまったく同じことを同時に言った。両手を前に伸ばして何かを押し止めるみたいな姿勢で、緑の剣士の瞳がほのかな桃色の輝きを放ち、敦のポケモンはすると突然に時間が凍結されたように、身動きや顔の表情などの細かい動作ですらまったく取れなく、トレーナーが指示された技を繰り出せる前にヨノワールは“ふういん”された。
  「ヨノワール!!」
  「これで打ち取る。エルレイド!」
  目が輝いて相手の動きを封じる不思議な力を使いながら、エルレイドは長く伸ばし出した両肘の刃にさらなる力を集中して、目に見える光のオーラが彼の武器を包んだ。そして輝くオーラに纏われたブレードを振り回して、彼は石化されて無抵抗の黒い幽霊にとどめの一撃を与えた。
  「わっ!すぐ戻れ、ヨノワール!」
  エルレイドのブレイドに斬り付けられる間一髪の寸前、敦は一刻の猶予もないの速さでヨノワールのモンスターボールを開けて、ぎりぎりのところで彼を吸い戻したおかげで敵の刃は空振りとなり、なんとか自分のポケモンを相手に倒されるのを免れた。そして戦うべき相手がいなくなって、敵手はすぐさま十数メートルを後退して、敦の次に出すポケモンと対抗する準備をするように身を構えた。
  今レイのエルレイドと一戦を交えて、とあることを思い出したように、気になった敦はさらなる慎重なまなざしで向こうを注意深く見つめながら、思考によって一瞬身を静止した。そしてほどなく、少年は決断的に腰のベルトからまだ一つのモンスターボールを取り外す、ボール上のボタンを一押すことで中のポケモンを外に出した。きらりの光の中から現わしたものは別に意味で観客たちも驚かせるくらい、赤いほっぺたがある頭に長い尖った耳が生えており、平べったい尻尾はイナズマ模様のようにギザギザで、抱きしめるととても気持ちが良さそうな黄色の毛皮が全身を包む、サイズはパタモンと変わらないくらい小さな一匹の電気ネズミ――ピカチュウ。
  「な、なんじゃい、あれは?あんなの、どうやって戦うというんじゃよ?」
  今回敦が出したポケモンを見たすぐ、脇で傍観しているおじいさんはどうしてもこの疑問を自分に問わざるを得なかった。何せよ、今まで二人の少年が繰り出したポケモンたちと比べると、この電気ネズミは激しい対照となるくらい弱々しく見える。成長期レベルにしかないのパタモンと変わらないくらいに見えるのポケモンが、どうやってレイのエルレイドと同等に渡り合えるのか、気になって心配しない訳がないだろう。
  「このポケモンは確か……。エルレイド、ソイツのスピードには気を付けろ」
  『スピード?』
  ジジモンと引き換え、レイの方はかわりに相手のことを少しでも甘く見ていなく、逆にあんな小さなネズミでも警戒を怠らずに自分のポケモンに注意した。
  「長引きとこっちにとって不利だ。ピカチュウ、お得意の電撃戦で速戦即決しよ」
  元気な鳴き声でトレーナーの指示に応じたすぐ、あの黄色のネズミは前方にあるエスパー剣士へ向かって駆け出す、同時にぱちぱちの電流音がほっぺたの赤い部分から発してた。
  先ほど自分のトレーナーにあのポケモンのスピードについて注意されてるが、しかし今ピカチュウの走行速度と加速力から考えて、目に追い付けないのスピードに達すにはまだほど遠い。もしかして何かの策や隠し技があるではないと推理して、エルレイドは彼の生まれ付きの超能力を利用し、相手の脳波を感じ取って心の奥の思考を読み取ることで対応策を練り上げようとした。
  ――しかしながら、エルレイドは読み取る時間がなかった。
  観客たちやエルレイド自身ですら予想していなく、瞬発力がいきなり常識外れたレベルまで上げて、彼の“テレポート”と匹敵するほどのすさまじいスピードで、まだ十数メートルの先にある電気ネズミは一秒もないの束の間で懐まで突き込んできた。エルレイドがとっさに飛び退いても完全に回避し切れなく、ピカチュウは彼の脇の下と腰の間を擦りむいた。
  『うぐっ……!?』
  まるでピストルの弾みたいに、ピカチュウは何かをもって爆発的な推進力をもらったと、擦りむけた途端エルレイドはそう推理した。だけどあいにく、その裏の仕掛けを理解できる前に、敵の第二波の攻撃はすでに途切れなく襲ってきた。
  残留の推進力の働きでエルレイドの近接範囲から飛び過ぎ去る前に、ピカチュウはすぐほっぺたからすさまじい電気を四方八方へ発散して、自分の数メートル範囲を無差別に電流を流した。すぐ隣にいる剣士はもちろん、最初の先駆として電撃の餌食となり、全身の感覚もなくさせるほどのしびれ感が彼の全身を襲いかかった。
  「エルレイド!すぐに戻れ!」
  とどめが緑のエスパー剣士へ刺し込むそのわずかな直前、レイはすぐ手にあるボールを開けて、体が麻痺されて動けなく倒れ掛かるエルレイドを吸い戻した。気遣わしげな様子で手に持っているボールを少し見つめたあと、青い帽子の少年はたった五秒で彼のポケモンを倒れる寸前まで追い詰めた向こうの電気ネズミを不快な目でにらめた。
  「オマエのピカチュウは高速戦が得意とすることは今やっと憶え出したが、しかしこれはやはり反則ほどのスピードだ」
  この一言のコメントを聞いて、向こう側の少年はかわりに何気なく言い返した。
  「ちっとも反則のことをやっていない。ピカチュウはただ、“でんじふゆう”という補佐技を“こうそくいどう”と一緒におれが教わった方法でコンボしてただけ。技を有効的に組み合わせることはまったくバトルのルールを違反していないけど」
  先ほどなぜ少年のピカチュウがあんな度を超えた加速をできたのか、実は主に“でんじふゆう”という技のおかげだった。元々この技はポケモン体内の電気を特殊な流れを循環することで反重力の磁力を生成し、ユーザーの体を宙に浮かばせる。しかしその反重力の磁力を足先だけに集中すると、技術的に電磁浮遊列車(リニアモーターカー)の運動原理と同様に、移動の摩擦をほぼ無までなくさせて、加速のリミッターが解除した状態になる。それに加えて高速に移動すると、ユーザーポケモンは一瞬で限界以上の移動速度を出せるようになる。このような独創的に組み合わせた複数の技を使いこなせたピカチュウは称賛に値するべきか、でも技のそのような使い方を思い付いて、そしてそれを自分のポケモンに教えた敦もまた感心しなければならないくらいだ。
  「フ、フフ……」
  どういう訳で、今敦の返事を聞いたすぐ、不気味な笑い声が突然レイからこだました。
  「技を有効的に組み合わせ、か。今思い出せば、オマエは確かにそうやって実力をテクニックでカバーする。そのおかげで力がオレのチームより及ぼさないでもオマエはポケモンリーグの決勝戦で優勝を収めた」
  突然バトルの最中で昔話を蒸し返して、見えない虫が知らせたように敦はレイから異様の気配を感じた。
  「オレはオマエのことが嫌いだ、でもオマエのトレーナーとしてのスキルは認める。そしてそんなオマエだからこそ、オレは絶対に負けられないと思っていた!」
  勝負事へのこだわりが激しくなり、レイはすぐまた彼のベルトから次に出すべきポケモンが入ったボールを取り出した。だけど今回は思いがけなく、そのポケモンは不自然なほど敦を気にならせた。なぜなら、今回彼が持ち出したボールはほとんどどこでも見かけられる一般人が使用する赤と白のノーマルモンスターボールではない。あれはごく少数の上級エキスパートトレーナーにしか使用しない、そして非常に高いランクのトレーナーグッズショップにしか売っていない、黄と黒のハイパーボールだ。そしてそんなボールを使ったってことは、つまり中のポケモンも普通のものではないと暗示した。
  「コイツは最後になったときこそ使うつもりだったが、でもオマエのトレーナーとしての実力を称えて、より早くオマエの前でお披露目しよう。さあ、これからは本当の本番だ」
  一秒もない短い一瞬しかないけど、でも陰険なまなざしと不気味ににやりとするレイから、尋常でない狂気を感じた。
  上にある唯一のボタンを押して、レイはそのハイパーボールを軽やかに前に投げ上がり出した。そしてノーマルボールよりずっとまぶしくキラキラに輝く光があの黄と黒のボールの隙間から放った瞬間、バトルフィールドの雰囲気は思わず一転した。
  「グギャアアアアアアアアァァァァァァ――――――!!!」
  ボールが開くときの光のエフェクトがまだ完全に消えていなく、雷鳴より荒々しい、吹き飛ばされそうな衝撃的な咆哮はにわかに響き轟いて、空気だけでなく聞いたものの体と心も震わせた。
  「ぎゃあ!!怖い!」
  「な、な、な、なんなんじゃ、あれは?今までのと全然違うぞ」
  「あ……れ……ハ……」
  登場のときの吼える声を聞いたすぐ、というより今回レイが放ったポケモンの容姿を見たすぐ、観客たちの今までワクワクして観戦する気分は完全に吹き飛ばされて、もう気楽に見物にはいられないほど、隠れたいの怯える気持ちにしかなかった。
  「なっ……なんだ……?このポケモンは……?」
  対戦する少年も、平気のように振る舞えようとしていても、しかし今目の前にあるポケモン ―― 悪魔の翼と思わせる漆黒のオーラが放つ翼が六枚も背に生えて、長い首を持った竜の頭は左右に二つ小さいのと中央に一つ大きいの合わせて全部三つがあり、鋭い牙がたくさん生えた三つの口は喰らい尽くせる獲物に飢えているように白い霞の呼気を漏れてる、黒ずんだ藍色と黒色の羽毛らしき毛皮に覆われた体は足はないが下半身は長い太い尻尾になっており、凶暴と無情が際立ったその姿を見るまでもなく、血も凍る寒気がする気配を感じただけで相手の心に恐怖を植え付けるくらい、まるで生命を憎む“死”の化身である巨大な暗黒ドラゴン ―― を見てると、胸の動悸はどうしても治まれなく、いつの間に骨までしみれた戦慄は知らないうちに彼の足を凍らせた。
  怖じ気付きながら宙に浮く黒い邪悪竜を見ているうちに、恐怖感によって麻痺された思考は突然正常に戻って、敦はすぐ恐懼を振り落すように頭を左右に振った。
  「見た目は怖いでも、所詮トレーナーに捕まえられたポケモンだ、倒せない訳がない。ピカチュウ、”10まんボルト”を使え!」
  恐怖を理性で強いて抑えたすぐ、少年は彼のポケモンに攻撃すると命じた。しかしそのとき、黄色の電気ネズミはまるでトレーナーの指示を聞いていないように、ただ立ち止まって何もしなかった。
  「おい!ピカチュウ!どうした?”10まんボルト”だぞ!」
  少年はもう一度呼んでみたが、しかしあの小さなポケモンは先と同様にまったく指示通りに攻撃を仕掛けない、かわりに恐れてるように気弱に後ずさりした。すると敦はすぐ分かった、ピカチュウは今恐怖感に支配されて、怯えすぎて彼の声が届いていない。
  「無駄だ。コイツの”ほえる”を食らって怯えないものはいない。やれ!」
  彼のポケモンの容姿のように無情な一声の合図をあげると、黒きドラゴンはすると三つの頭を合わせて、三つの口から疾風のような炎のようなすさまじい草色のエネルギー波を吐き出す、立ち竦んだ電気ネズミを容赦なく攻撃した。相手が攻撃を仕掛け込んで来るを見た途端、怯える心の働きでピカチュウはすぐ逃亡したか、しかしいかんせん、逃げたくでも逃げ切れなかった。
  逃げ出したおかげで彼が立ち竦んだときの位置に当たる“りゅうのいぶき”の直撃は一応避けたが、でもバトルフィールドの大半も巻き込む並大抵ではないの爆発は到底回避できなく、ピカチュウは衝撃の中に飲み込まれた。
  すさまじい爆風で吹き上げた余波の風はつむじ風みたいに強く、吹き飛ばされないように敦は彼の頭にかぶる赤色の帽子をしっかり手で押さえながら仁王立ちにした。なんとか踏ん張り切って吹き飛ばされずに済んだが、しかし彼の面前まで打っ飛ばされた黄色のネズミはそう幸運ではない。強すぎた爆風の衝撃でピカチュウは全身に重傷を受けて、倒れかかっている状態に追い込まれた。
  「ピカチュウ、すぐ戻れ!」
  少年は即座に手に持つ赤と白のモンスターボールを開けて、意識が遠ざかっているピカチュウが倒れるぎりぎりの寸前でボールの中に戻してやった。そしてその同時に、強烈な爆発で巻き上げたフィールドを覆ってる砂煙も吹き飛ばすほど、衝撃的でなおかつ戦慄するのどよめきが向こう側から鳴り響いた。
  「一体なんなんだ、こいつは?見た目だけじゃない、そのパワーも恐ろしい。攻撃の間接衝撃だけでピカチュウを重傷にさせるとは、直撃したら瀕死、いや本当に死んだかもしれねえじゃねえか!!」
  圧倒的な力を見せつけられて、さすがに少年はうろたえずにはいられなかった。それと引き換えに、彼の取り乱した様子を見てて、向こう側の男の子はかわりに得意げに含み笑いをした。
  「そう、強いだろ?コイツはオレの切り札のサザンドラだ。あらゆる方面のパラメータも驚異的な強さを持つうえに、恐ろしい外見は一瞬で相手を精神的に屈服させる。今までコイツを敵えるものは一人もいなかった。敦、オマエは唯一オレに勝ったことがある人間、オマエは凄腕のトレーナーとして見込んでいる。だからオマエは本当にオレに勝てるほど強いと言うなら、このサザンドラを倒してみろ!」
  トレーナーの意気込んだ挑戦宣言に応じて、あの暗黒ドラゴンはもう一度荒々しく咆え上がり、異常な戦意と敵意が詰め込んだ霹靂の轟音はまるですぐさまひねりつぶしてやると言っているようだ。
  「冗談じゃねえ!!おれがこんな化け物の相手をしよっと言うのかよ!?いくらバトルだからとは言え、おれは本当の意味で死ぬ気でやるつもりはねぇんだぞ!」
  「……なんだと?」
  気が狂ったようにしか聞こえない、本来のトレーナーバトルの意味から外れたこのふざけた果たし合いに対して、敦は尻込みした不満を示した。しかし今彼の否定的な発言を聞いたすぐ、向こう側の少年は思わず押しが逆にさらに強くなった。
  「つまりオマエ、サザンドラと戦いたくない、リタイアでもするつもりか?試合の始まりのときもすでに言ったはずだ、わざと負けるような戦い方は許さないと。だからオマエは棄権という選択肢はない。オレが勝つか、それともオマエが勝つか、はっきりした結果が出るまで逃がしは許さない!!」
  断固とした口調で言っている同時に、サザンドラは彼の中央の頭の口から不気味な色に輝く暗黒のエネルギー波を吼えながら吐き出す、観客たちにもびっくりするほど彼は相手のトレーナーに向かって攻撃した。
  「わあっ!!」
  人間に向かうこの一撃は不意を突かれた少年に直撃するとても間一髪の寸前、右手を腰の後ろへ回した敦の真後ろにきらりの閃光が突然輝き出す、ヒレが生えた大きく太い青い尻尾はその光から伸ばし出して、力強く振り回すことで少年の身代わりに相手の“あくのはどう”を受け流した。そしてあの尾は少年を守るみたいに彼を取り込みながらさらに長くなってぐるぐる巻き上がり、明らかにした正体 ―― 全長16メートルほどの長い躯体をもって、筋骨たくましい肉体は金属並みの質感の青い鱗に覆われ、常に大きく開ける口は何もかも噛み砕ける鋭い牙が生えており、顔付きは今レイのサザンドラと匹敵するほど、目の前あるすべてのものを破壊し尽くしたいような凶暴な海龍 ―― は怒れた顔と敵意があふれた咆える声で向こう側に抗議した。
  「助かったよ、ギャラドス。おまえがいなきゃどうなるだろうな」
  ホッとした顔をしながら、敦は彼を中心にしてとぐろを巻いた青い水棲龍に軽く謝辞を述べた。穏やかなまなざしでその一言にお返ししたギャラドスのそのときの表情は、トレーナーと付き合いが長いみたいですでに飼いならされた雰囲気がする。向こうのサザンドラと比べるほど怖い顔はするけどでも周りに害を及ぼす感じがしない、見ている観客たちは驚きはしていたかしかし怯えるではなかった。
  「あのサザンドラ、間違いなくおれに直接に攻撃を仕掛けようとしたんだ。あいつは自分の意思でやったが、それともレイのつもりでやったか。どっちにしても、トレーナーを直接に攻撃するなんで、これは見逃すべきことではないなあ。ギャラドス、やばい相手だけど、頼んだぞよ」
  信頼を託すその言葉は励ましとして、ギャラドスは気合を入れた喊声を上がり、すぐ相手のポケモンへ向かって突進した。がっしりした巨体だが身のこなしは非常に軽快で、青の海龍は何度も体当たりするや尾を振り回して、腕や足がなくでも力強い長い体を生かす彼なりの物理格闘技で相手を攻撃した。しかしさすがに切り札と呼ばれるだけの実力があって、間近で見ると首をもたげなければならない巨大な図体を持っても、サザンドラは非常に高速になおすばしこく飛び回れる、ギャラドスの近接攻撃をすべて器用になおたっぷりの余裕を持って回避した。
  「これじゃらちが明かないんだ。ギャラドス、“たつ――」
  進展がない今の状況を打開するように別の攻撃指示をあげようとしたか、しかし言い終われる前に、キ――ッとする甲高い叫びがにわかにサザンドラの三つの頭の口から張り上げた。すぐ目の前にある相手のポケモンだけでなく、敦や観客のデジモンたち、そして自分のトレーナーであるレイでも、耳だけでなく脳みそもつんざくするくらいの“いやなおと”に苦しまれた。手があるものは耳を塞ぐことで少しでもその不快感を和らげられるが、でも腕が持たないギャラドスはそれができなく、“いやなおと”をありのままに受けた青い海龍は苦しそうにじたばたした。
  苦しんで相手が無防備となったこの絶好の反撃チャンスを逃さず、より高い上空へ飛び上がったサザンドラは空へ向かって遠吠えしながら全身のエネルギーを口の前に集中させて、見ているみんなも驚かすほど、彼は自分の体よりも大きなエメラルド色に輝くエネルギー玉を生成した。トレーナーの指示もないのに、黒き邪悪竜は直ちにチャージし終わった“りゅうのはどう”を投げ下ろした。
  「ちょちょちょちょっと!!それはいくらなんでも!直ちに戻れ、ギャラドス!」
  まったく手加減なしに、というより全力展開のこの一撃は確実に相手を完全に消滅する――殺すほどのものなんだ。強靭な体を持つギャラドスでも直撃されたら重傷だけでは済まさない、そのため敦はすぐ寸秒の猶予もなくギャラドスのモンスターボールを開けて、ポケモンを回収することで本当の字面の意味で必殺の一撃を免れた。そして攻撃目標がなくなって最大出力の“りゅうのはどう”が地面と衝突する瞬間、二人のトレーナーの間の空所を完全に荒廃するほどの大爆発が起こし、このバトルフィールドを分厚い砂ぼこりに覆われた一つ大きなクレーターへ改変した。
  「わあああぁぁぁ――!!」
  爆撃地点から最も近かった敦は真っ先に衝撃波に巻き込まれて、十数メートルの遠くの場所まで吹き飛ばされた。そして爆風の余波は前回ピカチュウを倒した“りゅうのいぶき”よりさらに強く、離れた脇で観戦しているデジモンたちも吹き当たってくるすさまじい衝撃の風を体で感じれる、サザンドラの脅威的な強さにびくびくと恐れてた。
  「サザンドラ、今の攻撃はやりすぎだ。オレたちがやっているのは殺し合いではない、もう少しパワーをセーブし――」
  余波に吹き飛ばされないように仁王立ちしてたレイも自分のポケモンの攻撃がおかしいほど強すぎたと気付いてる、そのことでサザンドラに注意した――が、そのとき暗黒のドラゴンは思わずまったく聞きたくないように、自分のトレーナーに向かって雷鳴的な反抗の吼える声をあげた。
  「なっ……!?何をするつもりだ、サザンドラ?」
  その無愛想な命令口調が気に入らないように、サザンドラはイライラしながら問い返したレイに向かってもう一度叫び轟いた。そして黒きドラゴンはすぐ顔をそむけてトレーナーを無視し、吹き飛ばされた向こう側の少年に飛び付いて行って、砂煙の中に消えた。
  「……ちっ。また抑えが利かなくなってきたか。おい、敦!!さっさと応戦しろ!まだバトルの最中であることを忘れるな!」
  思いやりが一切なく無情な音調で大声で叫び出して、レイは向こう側で俯せている少年に呼びかけた。
  「ちょっと、ボウズ!早く起きてよ!あの黒い竜がおまえさんに近付いてきてるよ!」
  「敦さん!しっかりしてよ!……って、あれ?」
  傍らで見ているデジモンたちも現状を見兼ねて、危機が迫りつつ状況にある少年をなんとか呼び起こそうとした。体に少し擦りむけた傷はあるが、でも奇跡的に特に大した怪我はなく、別に立ち上がらない状態にあるではない。ただ先ほどの衝撃でどうやら軽い脳震盪がかかってて、今敦の意識は少々ぼんやりしてて、みんなの声を聞こえても体はすぐ対応できなかった。そして彼が意識を取り戻そうとしてるその途中、前方の砂煙の中に不気味に輝く暗紫色の両目を持った巨大な黒い影は少しずつはっきりとなってきて、恐怖の塊としか思わせない険悪な暗黒竜は敦の真ん前まで来ていた。
  戦うべき対戦ポケモンがいなくでも、サザンドラの戦意は少しでも下がっていなく、逆に暴れ足りないようにさらに高めていて、待ち侘びた彼は対戦相手のトレーナーに向かっていら立たしく吼え轟き続けた。まだ気が取り直していない敦から反響を得られなく、闇のドラゴンはもう我慢できない非常に不愉快な表情をして、三つの頭の口の中にそれぞれ炎、電気、冷気の力を蓄え込んで、現在無抵抗の状態にある少年に向かって攻撃を構えた。横で見ている見物人たちはするとさらに不安にざわめいていて、絶命的な危機に瀕している敦を救えるように声の限り必死で呼びかけた。
  ――でも彼を救ったのは、観客たちの呼び声ではなかった。
  三つの属性の力を面前に現わした三角形の陣にたたき込んで一つに混じり合わせるその間一髪の瞬間、黒き邪悪竜はいきなり思いがけない大声で叫び出して、すごい痛覚に襲われたように顔は痛そうにしかめた。彼はすぐじたばたしながら砂煙の中に引き戻し、構えた攻撃も何やら中断された。そしてサザンドラの痛みのわめき声に呼び起されて、ぼんやりだった少年はすぐ目を開けて、やっと意識を完全回復してとっさに起き上った。
  声は聞こえるかしかし何か起こったのをまだ理解しなく、敦はすぐ荒れ地に変えたバトルフィールドへ戻り、まだ終わっていないバトルに立ち戻った。そして肝心なターゲットはそのときうなりながらフィールド内でじたばた飛び回って、動き回ることによって吹き上げた乱気流は砂ぼこりを吹き飛ばす、彼がもがいている理由はやがてはっきりと分かった ―― 一匹竜(ドラゴン)のような体形をしていた青紫色の獣がサザンドラの尾に付着しながらぶら下がっていて、あの暗黒ドラゴンがどんなに尾を激しく振り回しても払えのけないほど、口の鋭い牙で力強くしがみ付いてる。
  「って、あれは!」
  「な、な、な、な、何やってるんじゃい!ドルモン!!危ないじゃから早く戻ってきなさ――い!!」
  「隣からいなくなったと思えば、いつの間にそこに……」
  「おい、そこの!何をするつもりだ?さっさとオレのポケモンから放しなさい!」
  みんなの注目はすぐさまサザンドラの尾を噛み付いているドルモンに集まって、現状に心配してるかでも同時に困惑してて、どうすればいいのかと分からないため誰も手を出さなかった。
  ただ飛び回るだけでは尻尾にくっ付いているものは払いのけられないと、それを体で理解したサザンドラは直ちに真上の上空へ飛び上がり、宙でとんぼ返りしたすぐ高速に降下し、地面と衝突する寸前に青紫の獣を下向きにさせながらすばやく尾を一振り下ろした。加速の勢いで地面にも割れるほど力強くたたき付けられたドルモンはすると非常なダメージを受けて、噛み締めている口も痛みで一瞬緩めて、やっとサザンドラの尾から引き離した。そして脇でこの一幕を丸ごと見ているジジモンはそのとき心臓病にかかるほどショックでした。
  「おい、ドルモン!しっかりしてよ、おい!」
  彼の主人(おや)ではないか、でも彼を支援する味方として、敦は心配そうに倒れている青紫の獣の隣まで様子を見に行った。結構の外傷は受けているか、でもドルモンは見た目の思ったよりタフで、頭を振り立てたすぐ彼は何事もないように立ち戻って、恐れ知らずにサザンドラへにらみ返した。そして少年にとって驚くに、そのときのドルモンは初めて彼と出くわした無邪気な子供ではない。今彼の目付きは鋭くなって非常に攻撃的、尻尾を激しく振り回しながら背を低くした身構えはすごく粗野と野性的で、その顔付きはまるで敵と直面しているサファリの野獣だ。
  誰かの指示もなしに、ドルモンはすぐまた勝手にサザンドラに向かって突っ走り出して、攻撃を仕掛けるように接近しようとした。でも誰の目から見ても実力差が違いすぎたこの相手に勝てるはずがない、見通しの通りに彼はすぐ怒りに取り付かれた凶暴竜の片方の頭に噛み締め上げられて、強い力を入れた口の牙はドルモンの体の奥まで噛み込む、彼は苦しそうに呻き出した。
  「ちょっと、レイ!こいつは無関係なんだろ?おまえのポケモンを止めろよ!」
  ドルモンを助けるように、敦はすぐ黒いドラゴンの持ち主を説き伏せた。だけどあいにく、物事の始終をずっと見ていてもレイの慈悲心はちっとも動じなく、冷酷な返事しか返せなかった。
  「なぜ止める?」
  「はあ?なぜって、おまえ!」
  「勝手に飛び入り込んだのはソイツだ。身の程わきまえずにやられたのもソイツの自分のせいにするしかない」
  むかつくほど冷血な返答しかもらえないが、でもそのとき敦は憤激することもいられない。漆黒のドラゴンは残り二つの頭を右の頭で噛み締めているドルモンに向けて、開けた口の中に深紅色の炎が激しく燃え盛ってた。
  間違いなく、サザンドラはドルモンにとどめを刺すつもりだ。敦のポケモンたちでも耐え抜きがたいと思われたこいつの攻撃が、こんな力弱いなものがこれほどの近距離で直接に受けたら、確実に微塵ですら残らなく消されるだろう。そのため見ている敦と観客の二体のデジモン、特にジジモンの肝はこの絶望的な状況に絶対零度まで冷やされた。
  「ちょっと!レイ!!そんなことをしたらそいつは死んじまうぞ!くそ、どうにかなりやがれぇぇぇ!!」
  あの暗黒竜のトレーナーが何かをして止めるつもりは一切ないなら、敦は自分でなんとかするしかない。少年はすぐ腰のベルトから一つのモンスターボールを取り出して、自分のポケモンの力でドルモンを助けようとした。今からポケモンを出してすぐあのドラゴンを攻撃して注意を引こうとしても、“りゅうのいかり”を放つ寸前の今の状況ではとても間に合いそうにない。それでも何もしなくてただ見ているよりマシと信じて、少年はやけくそに叫びながら渾身の力を腕に込める、間に合えと心の奥で願いながら死に物狂い努力で手に持つモンスターボールをサザンドラへ力投した。でもその同時に、息を大きく吸い込む黒いドラゴンは、口の中の深紅の炎を吹き出す寸秒前にある。誰の目から見てもこれは到底間に合わない、サザンドラの攻撃は止められない、そしてドルモンは助かれないと――
  「 ”メタルキャノン”!!」
  ――と、絶望を切り裂く突如とした掛け声とともに、体育競技でよく使われた一つずっしりとした黒い鉄球がにわかにドルモンの口から発射し出す、彼を噛み締める黒いドラゴンの中央の頭に勢いよくガーンと当たって直撃した。レイを含めてこの場にいるみんなはするとあらゆる動きも止めたくらい一瞬の間ぽかんと見とれるほど、額に大きなこぶができあがったサザンドラは急に目がクラクラし始めて、体がフラフラ揺れてるうちに思わず一声の墜落音とともにあっさり地面で卒倒した。
  「なっ……!?バカな!!」
  「……うっそ……だろ?こいつがレイのサザンドラを……倒した?」
  この光景が目の前にしても、二人の少年はいまだに自分の目を信じていなかった。何せよあの獰猛な黒いドラゴンは歴戦の経験が積んだ敦のポケモンでも敵わないくらいの強敵、まさか大した力を持っているように見えないの飛び入りに何気なく倒されるとは。最後の土壇場で結局助けの必要がなくなり、敦の手に持つモンスターボールも結局最後の一秒で投げ出しそびれるようになった。でも自分が排除しようとした被害者にやられるとは、これがレイのご自慢の切り札と言われると、非常に皮肉でなお複雑の気分だ。二人の少年もそのとき言葉が失ってただ口を開けたまま、愕然とした目で俯せに倒れているサザンドラの前で腰掛けている青紫の獣を見つめて、もしかしてドルモンに何かの力が秘めていたではないかと考え始めざるを得なかった。
  「ドルモン!!」
  ほどなく横からの呼び声はすぐ二人の少年の気を取り直して、なおまだドルモンの注意を引いた。そして敦に怪訝に思わせるほど、心配そうに隣まで来ているジジモンとパタモンを見るドルモンの目は、いつの間に初対面のときの幼い子供の無邪気な瞳へ戻り、普段の人懐こい親しみやすい雰囲気が流れて、まるで先の攻撃的な野獣はウソのようだ。
  「どうしたの?」
  そのあどけない顔とピッタリな口調で、ドルモンはジジモンの気苦労の呼び掛けに返事をした。そしてあんな子供っぽい返事を聞いたすぐ、ドルモンは何かの力が秘められたの考えも直ちに敦の頭から没になった。
  「『どうしたの?』っじゃないわよ!怪我はだいじょうぶじゃか?痛くないのか?」
  「うん、だいじょうぶだよ、心配しないで」
  体のあちこちも外傷と咬傷だらけだが、でも命にかかわるほどのものではないため、ドルモンは疲れたけどでも何気ない口調で返答した。しかし彼の平気を装う顔と対照的に、ジジモンの憂慮は少しでも減らしていなく、怒ったように言い返した。
  「心配しない訳ないじゃないか!おまえはああいう敵意を持ったものを見るといつもそうやって無茶なことをして、自分と相手の実力差も考えせずに。見ているこっちの寿命が縮むじゃわい」
  「ごめん、心配をかけるつもりはなかった」
  「ドルモンはいつもああいう調子だとぼくも知ってるけど、でもさすがに今回ぼくもひやひやしたよ。でもでも、あんな恐ろしいドラゴンを倒したなんで、ドルモンってすごいよ!」
  「そう……なの?ボク、大したことはしていないと思うけど」
  「いいや、大したことはしてくれたよ、おまえは」
  話の途中で一言を挟み、敦もデジモンたちの会話に加えた。
  「何せよおれがそいつに襲われた際おれを助けたんだろ?おまえのおかげじゃなきゃ今頃どうなっていたか、考えたくもないな」
  「そう……なの?」
  「そうだよ。それにおまえがそいつを倒してくれたおかげで、このバトルの勝負はこれでついちゃった。いいーや、これで助かったよ、マジで」
  「……勝負はこれでついた、だと?」
  神経をピリピリする威圧感が突然別の一辺から流れてくる。倒れている暗黒竜をハイパーボールへ吸い戻したすぐ、あの無情な少年はすぐ敦の近くまで上がり込んで、無愛想ながら憤激の顔は今のめでたい雰囲気を一瞬で追い払った。
  「ふざけるな!!サザンドラは倒されたから、それでキサマは勝ったとでもいうのか!?オマエのポケモンでもないの飛び入りに敗れても、勝負はついたとは言えん!」
  彼の憤る態度に対して、敦はすぐ同じ口調で返答するではなく、かわりに何気なく言い返した。
  「おれは別に勝ったとは言ってない。勝負の結果は別に勝つか負けか二者択一のものではない。“飛び入りに邪魔されて、勝負は無効となり”という結果もあるけど」
  「ふざけんな!!そんな結果は認められるか!敦!直ちにバトルを再開しろ!」
  「いやだね!ポケモンたちは傷付いてるし、おれだってへとへとだし、しばらくの間もうバトルしたくねぇんだよ」
  「トレーナーがほかのトレーナーの挑戦を受けるのか使命だ、ゆえにキサマに拒否権はない。さあ、やれ!!」
  その腹立たしい手下に向かう命令口調を聞いて、疲れたとしても黙ってはいられず、むかっと来た敦はすぐ腹立ち紛れにレイに口答えした。するとポケモンバトルが終わったばかりというのに、口のバトルが早々と二人の間で始まった。
  「やりたくねえって言ってんだろ!おれの権利はいつからてめえに握られてんだよ!?大体こっちの文句だってまだ言ってねぇんだぞ!おれのポケモンは危うくてめえのポケモンに殺されたんだ、それはひどいじゃないか!?」
  「何かひどいよ?ポケモンバトルにおいてこれは普通のことだろ!そんなことも知らないでポケモントレーナーをやってバトルを参加してるのか、キサマは?」
  「むっかー!!てめえこそ、バトルにおいて相手のトレーナーを直接に攻撃することはご法度であることを知らないのか?おれも危うくおまえのサザンドラに殺されてるんだぞ!」
  「それは相手のトレーナーを攻撃しろと直接にポケモンを指示したときこそそのルールは適用される。トレーナーが自ら攻撃範囲に飛び込んで爆風や衝撃に巻き込まれても自業自得としか言えない。何もかもオレが悪いのような口をするな!悪く思いたいなら戦闘のときにおいても自分のポケモンの間近にいる自分を恨め!」
  「てめえだって十分悪いなことをしていただろ!!飛び入り込んだ無関係のドルモンを見殺しにしようとしてたじゃねえか!一体なんでてめえのような冷血漢がポケモンリーグの決勝戦まで切り抜けたんだ?」
  「なんだと!キサマ!?気まぐれで向こう見ずのうじ虫の分際で、生意気な!」
  「むかつくな言い分だな。だけどポケモンリーグでそんなおれに負けたおまえは、うじ虫以下だ!!」
  「テェメエェ……!!」
  二人の少年の間で散らす火花はとうにこの草原も焼き払えそうな大火となり、にらみ合っている二人の視線ももうぱちぱちぶつかり合う電流のレベルではない。あれはもう星と星の激突、竜虎闘争並みのプレッシャーがこの場の空気も燃え尽きて、隣のデジモンたちは息苦しく二人を見ながら困惑する、二人の間に割り込んで止めるべきかどうか迷ってた。
  「ど、どうしよう?ねえ、ジジモン、どうすればいいの?」
  二人の喧嘩を見るに見かねいて、ドルモンはすぐジジモンにたずねた。するとあの老人デジモンが一つ大きなため息を吐いたあと、思わずこう答えた。
  「……放っとけ」
  「ええ!?」
  「あの二人が気が済むまでやらせい。わしはもう知らん」
  これ以上かかわりたくなく、言い捨てたたちまちおじいさんはすると村の方向へ振り向く、直ちにここから立ち去って行った。そして最も能率的なストッパーがこの場からいなくなって、二人の少年の間に広がる怒りの炎も制御がなくさらに強くなり、残されたドルモンとパタモンだけではどうしようもないほど、この争いはいつまで続くだろう……


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つづく
次回 ― 第2話:異世界からの贈り物、新しい冒険のゲートへ

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